日本eスポーツ学会設立について

現在、世界で大流行するビデオゲームを競技として扱う「eスポーツ」。

世界ではプロリーグが存在し、数多くのプロプレイヤーが凌ぎを削り、IT業界の一翼を担い、スポーツマーケティング的視点、 また将来的にはオリンピックとの関係性も指摘され、注目の的となっています。

しかしながらゲーム大国と言われる日本国内では、メディアでの扱いもほとんどなく、その存在すら知られることがありませんでした。 そうした中、「eスポーツ」を学術的に検証・調査し、社会に発表、還元していくことが必要と考え、この度、日本eスポーツ学会を設立することと致しました。

設立呼びかけ文書

eスポーツ学会設立の呼びかけ

-新型スポーツの研究で豊かな21世紀社会を築く-

(スポーツの歴史と現況)

私たちは、古来、さまざまな方法で人の生活を豊かにしてきました。それは富を得るための経済活動のみならず、文学・美術などの精神活動、 そして、今日スポーツとして多様な種目と形態を生んでいる身体活動があげられます。身体活動は、動物としての人間のいわば本能に由来しています。 しかしながら人間は、生きるための狩猟・採集生活から余暇を独立させ、身体活動をスポーツに進化させました。その長い歴史の過程で、人間は、 スポーツのルールを制定し、体制化して、豊かな身体文化、スポーツ文化を育んできたのです。現在では、スポーツは私たちの生活に広く根付き、 アマチュア、プロフェッショナルのプレイヤー対象とする、多様な種目と競技会が存在しています。そして、スポーツは文化のひとつとして、 世界の友好にも重要な役割を果たすようになりました。

(eスポーツとは)

また、今日、未来型の新たなスポーツとして注目されているのがeスポーツです。eスポーツとは、人間の身体活動をコントローラーを通じて 電子データ(信号)に置き換え、デジタルゲームのシステムを使って競い合う新しいスタイルのスポーツです。世界に目を転じれば、すでにeスポーツは、 新たなスタイルのスポーツとして認知され、若者を中心に多くのプレイヤーを獲得しています。そして、世界レベルのeスポーツ競技会も実施され、 プロフェッショナルのプレイヤーも存在しています。eスポーツは、インターネットを通じてプレイするゲームなので、地域や年齢・性差を問わず、 また、さまざまな障がいの有無に関わりなく、文字通り垣根を超えて楽しめるスポーツとして注目されています。

(デジタルゲームの現況)

しかしながら、国内に目をやると、デジタルゲームは、すでにわが国を代表する世界的な産業として成長してきたにもかかわらず、 デジタルゲームの負の側面が強調され、それが持つ正の側面をまったく無視する論調が少なからず見受けられます。 近年、わが国でもゲームセンターや家庭で身体性を伴うゲームが普及してきましたが、まだその動きは一部にとどまっています。 その結果、デジタルゲームを用いて競い合うeスポーツの国内における発展を妨げてしまっているのが現状です。その背景のひとつには、 eスポーツ研究の遅れにあると考えられます。

(eスポーツ学会の目的と意義、役割)

eスポーツ研究の目的は、従来のデジタルゲーム研究やスポーツ研究に加えて、e-スポーツの社会的意義や、 eスポーツが人間の身体に与える正負の影響を解明し、eスポーツタイトルゲームの評価方法やeスポーツによる地域振興・経済振興の研究など、 多岐に渡るとともに応用的・実践的な課題が存在します。私たちは、如上の研究課題を解決し、eスポーツをIT社会における未来型の新たなスポーツとして捉え、 それを社会に根付かせ、発展させることが必要と考えます。そのために、e-スポーツに関心を持つ、研究者・行政関係者・学生・プレイヤーが、 eスポーツをともに研究するコミュニティとして日本eスポーツ学会の設立をここに呼びかけます。eスポーツ研究に関心をお持ちの皆さんに広く参加を呼びかけます。

eスポーツ学会 設立呼びかけ人

東京大学大学院情報学環・学際情報学府 教授 馬場 章

早稲田大学スポーツ科学学術院 教授 原田 宗彦